
TPPでどうなる?日本の農業、経済、暮らし、もう一度じっくり考えよう
今年3月の東日本大震災以降、経済界などから「復興のためにも早期参加が必要」というTPP(環太平洋連携協定)交渉への参加を求める声が再び高まっております。
TPP交渉への参加は、被災地の現状や農家の心情を無視するだけでなく、国民の生活や国としての在り方を一変させかねない大きな問題です。JAグループでは、あらためてTPP反対を訴えるとともに、いま一度国民の皆さんとわが国の在り方や今後の農業、私たちの生活について考えてみたいと思います。
TPPがもたらすのは経済成長ではなく日本経済のさらなる悪化
TPP交渉参加国のうち、日本の輸出先となり得る市場は米国市場のみです。しかし米国は、自国への輸出に依存した世界の経済成長を拒否しており、逆に米国からの輸出を増加させ、国内雇用を創出しようとしています。また、日本では為替リスクを回避するため、すでに多くの大企業が海外移転による現地生産を進めています。その一方で、海外移転できない中小企業は、関税撤廃による安価な製品の大量輸入により、現在以上に厳しい価格競争にさらされることになります。その結果、日本経済を長年苦しめているデフレの悪化、賃金引き下げなど、日本経済のさらなる悪化をもたらされることが懸念されます。
TPP交渉参加9ヵ国に日本を加えた10ヵ国の内需規模の比較(2007年)

「TPPに参加しても例外が認められる」のは極めて困難
「TPPに参加しても、コメなどを関税撤廃の例外としたり、一定の経過期間を設けることは可能」との主張がありますが、TPP交渉に参加する米国など農産物輸出国は、こうした例外扱いを否定しています。現在のP4協定において例外化されているものは、宗教上の理由など特別なものに限られていることからも、例外措置が可能との根拠のない見通しを持ってTPPへ参加することは極めて危険です。
平成23年5月12日 米国下院農業委員会 公聴会
クロフォード下院議員(共和党:ア-カンソー州)
韓国とのFTAにおいてコメを例外としたことは悪い前例であり、TPPにおいては米国産のコメの市場アクセス拡大のため、いかなる例外も認めるべきではない。
カーク米国通商代表
TPP交渉において、われわれは全ての参加国に対して全ての品目を自由化交渉の対象とするよう求めている。韓国のコメ市場は非常に保護主義的であり、米国はさらなる市場開放に向けた圧力をかけ続ける。
平成23年5月24日 米国・アジア太平洋協会
ニュージーランドのグローサー貿易大臣
TPPにおいては、全ての品目が関税撤廃の対象であり、コメや砂糖を例外扱いするべきではない。
TPPに参加して日本に不利なルールを丸飲みさせられるだけ
TPPに参加して日本に有利なルールづくりをする必要があるとの主張がなされますが、最終的には米国が中心となって策定されたルールを強要されるという形になるだけで、わが国にはマイナスにしかなりません。

食品安全性に与える影響
- TPP参加により、輸入肉用牛の月齢制限が緩和され、牛海綿状脳性(BSE)リスクのある牛肉が日本国内に入ってくる危険があります。
- 現在日本で禁止されているポストハ-ベスト農薬(収穫後使用農薬)が使用可能となり、さらには、有機農産物の残留農薬規制を緩和させられることが想定されます。また、食品添加物については、日本では認められていないものについても、国際規格で認められているという理由で認可を求められる懸念があります。
- 遺伝子組み換え食品等の輸入拡大も懸念される上に、遺伝子組み換えである旨の国内表示ルールに対して、「貿易障壁」としてルール変更が求められる恐れがあります。

農業以外の分野に与える影響
- TPPの作業部会では、農畜産物や工業製品等の関税撤廃(下図
)だけでなく、金融・保険・医療等のサービスの自由化や、植物検疫・公共事業の入札制度等の国内制度の規制緩和・撤廃など、幅広い分野が交渉対象として議論されています。 - TPPに参加することによって、一部の工業製品の輸出拡大による経済的メリットと引き換えに、わが国の仕組みや基準が一変し、私たちの将来のくらしに大きな影響が及ぼされます。

TPP交渉参加へ怒り 街頭活動を行う(11月18日)
11月野田総理がTPP交渉参加にむけ関係国との協議を開始するとの方針を表明しました。国民への情報開示も不十分で不安を募らせています。JAでは、TPP交渉参加による農業への影響を理解してもらおうと、JR二本松駅・本宮駅・杉田駅で、JAの役職員が早朝駅利用者へチラシを配りました。


















