
チャレンジ!家庭菜園の記事
タマネギの植えつけと作業のコツ
板木技術士事務所 板木利隆

9月に種まきしたタマネギは、9月下旬から11月が植えどきです。
タマネギは、真冬に入るまでに十分地中に根を張らせ、春になったらすぐに勢いよく育つようにすることが大切です。そのためには、根の発育に有効なリン酸成分を欠かさず、特に火山灰土壌では多めに元肥として施すことが大切です。早めに完熟堆肥(たいひ)少量と化成肥料、過リン酸石灰または熔成リン肥(ヨウリン)を全面に耕し込んでおきます。粗い堆肥を根の下方に与えると通気が良過ぎて、乾き過ぎたりするなど、かえって生育を損ねてしまうので注意してください。普通に野菜が育つ畑なら、むしろ堆肥はあまり与えない方が無難でしょう。
植え方には、50~60cm間隔に溝を作り列植えにする方法と、べッドを作り15cm間隔ぐらいに密植する方法があります。
列植えは溝作り、植えつけ、覆土と鎮圧作業が連続的に行われるので、作業能率が高いほか、収穫前に列間に後作(ラッカセイ、ショウガ、インゲンマメなど)を植えつけられるので、畑の利用効率も高まります。
べッド植えは、面積当たりの植えつけ株数が多いこと、フィルムマルチを効率良く利用でき、雑草が抑えられ、球の肥大が早められること、などの利点があります。
植えつけ作業のコツは、畑が乾いていたら事前に溝の中、べッド(マルチ前)にかん水する。苗取りは大きさをそろえ、根を十分につけて抜き取る。根はできるだけ下方に向けて深く入るよう植える(べッド植えでは木製の穴開け器で植え穴を開けるのが能率的)。植えた後は株元を鎮圧(列植えは足で踏み固め、べッド植えは指先で株元を締めつける)し、根に土をしっかりなじませておく、などです。
いずれの方法も、植えつけの深さは図のように根の上に土が2~3cmの深さに掛かるぐらいがよく、緑葉の部分が隠れるほど掛かるのは深過ぎで、後の育ちが悪くなります。植えつけた後、畑が乾き過ぎるようなら、2~3回ほど株元にかん水すると活着が早まります。
植えつけ後、欠株が生じたら早めに残り苗で補植し、株数の完全な確保を図るよう心掛けましょう。
耐寒性が強く冬に重宝する小松菜
板木技術士事務所 板木利隆

在来の力ブから分化した古いツケナ(アブラナ属の菜類のグループ名)の一つです。その名は江戸時代に、現在の東京・江戸川区の小松川周辺の特産だったことから生まれたと伝えられています。
市場に多く出回っているのは葉身が円形、肉厚で緑の濃い、いわゆる丸葉系の品種ですが、在来に近いはかまのついたものや、クキタチナ、大崎菜、武州寒菜、女池菜など、類似の在来品種もあるので、地域によってはこれらを育ててみるのもよいでしよう。これからまくのにおすすめの品種は「なかまち」「きよすみ」「楽天」「おそめ」などです。
冬の青物の少ない時期に取るには、10月に入ってから種まきしても大丈夫。関東南部以西の温暖地なら50~60日あれば収穫できるので、正月用には10月下旬でも十分間に合うでしょう。寒い地域では種まきしたらすぐにトンネルを掛けて保温すれば間に合います。
厳寒期に良品を得るには、保水性、通気性の良い、豊かな土壌が適しています。植えつける畑は前作を早めに片づけ、石灰をまいてよく耕しておきます。種をまく前の元肥には完熟堆肥(たいひ)、油かす、化成肥料などを施し、早めに準備しておきましよう。
種まきは通常、図のようにくわ幅のまき溝を作ってばらまきにしますが、狭い畑を有効に利用するには、べッドを設けて横方向に条まきにします。
発芽したら遅れずに込み合っているところを間引きし、溝の側方に肥料をまき、くわで軽く中耕して肥料を土に耕し込んでおきます。
秋のうちはコナガやアブラムシ、アオムシなどの被害を受けやすいので、べた掛け資材やネット類などの防虫資材で被覆したり、早期に発見し薬剤散布して防除しましょう。
プランター栽培も容易にできます。その場合、長形容器に2列まきにします。何分にも少量なので、収穫は1度で終わってしまい楽しみが少なくなりがちですから、収穫は株ごと引き抜かないで、外側の葉から1葉ずつかき取って収穫し、次々と出てくる葉を少量で足りる汁の実やトッピングにと、長く利用するのも一興でしょう。
中国野菜の立役者チンゲンサイ
板木技術士事務所 板木利隆

中国の中部辺りが原産の野菜です。戦後、中国から導入、あるいは再導入(以前に導入したが定着しなかったため)された野菜は相当数に上りますが、食味や調理特性が認められ根づいたものはごく少数しかありません。そのまれな野菜の代表格がチンゲンサイ。まさに中国野菜の立役者といっていいでしよう。
シャキシャキした歯触り、ほのかに甘味のある味わい、そして熱を加えても煮崩れ、色あせしない特徴は、いため物、クリーム煮、あんかけ、おひたしやあえ物、肉料理のつけ合わせにと、中、和、洋ともに使いやすいのが人気の元です。
家庭菜園の露地で良品を収穫しやすいのは、これから種まきする作型からです。
おすすめの品種は、早生で育てやすい、定番の「青帝」、暑さに強く歯切れのよい味の「長陽」、手のひらサイズで丸ごと調理できるミニチンゲンサイの「シャオパオ」などです。一定間隔(株間15cm)で楽にまけるシーダーテープ入りも販売されています。
苗作りは、128穴のセルトレイを用いてセル成型育苗にすると、そのまま引き抜き、畑に定植できるので便利です。少ない苗数でよければ、育苗箱にまいて、本葉1枚のころ3号のポリ鉢に鉢上げ移植したり、ポリ鉢に直接種をまき、そのまま苗に育て上げ、畑に定植してもよいでしよう。
残暑の時期から育てるので、畑には前作が空き次第、石灰または苦土石灰を適量まき、よく耕しておきます。元肥には良質の完熟堆肥(たいひ)、油かす、化成肥料などを全面に耕し込んでおきます。
生育が早いので、定植後半月と、その後、育ち盛りに入ったころに化成肥料を株の周りに追肥し、軽く土に混ぜ込んでおきます。高温期に乾き過ぎると石灰の吸収不足によるチップバーン症状(新葉の先の緑が褐変)が出ることがあるのでかん水に留意します。
アブラムシ、コナガ、キスジノミハムシなどの被害を受けやすいので、苗床での薬剤散布や定植後の防虫被覆資材による防除を行ってください。
ハクサイ作り成功のポイント
板木技術士事務所 板木利隆

【まきどき】よくできた結球ハクサイの球は、70~100枚の葉によって構成されています。まきどきが遅れると、葉数の増加が止まる花芽分化のころ(15度以下の気温が続くようになるころ、関東南部以西の平たん地では10月中旬以降)までに十分な葉数が確保できず、球の肥大不良になってしまいます。そうかといって、早まきし過ぎると、夏の高温で苗が良く育たず、畑に植えてから病害が発生しやすくなります。
種まきの適期は、前記の地域では8月20~25日ごろです。品種による違いもあるので、入手先でよく確かめてください。
【苗作り】128穴のセルトレイを用いると便利です。セル育苗用のピートモスを多く含んだ用土を選び、各穴に均一に詰め軽く押さえ、セルの区切りが見えるようにすり切り、たっぷりかん水してから種子を3~4粒まきます。覆土したらもう一度軽くかん水し、新聞紙を2枚重ねて覆い、毎日かん水し発芽を待ちます。3~4日で発芽するので、新聞紙を取り除き、用土の乾き具合に注意し、晴天なら朝夕2回ぐらいかん水します。トレイの外側の乾きやすいところは多めにかん水し、むらなく育てます。育つにつれて逐次間引いて一本立ちにし、20日内外で本葉3~4枚の苗に仕上げます。
少ない株数でよければ3号ポリ鉢にまいてもOKです。この場合は根鉢が大きいので、本葉5~6枚の大苗に仕上げます。
【植えつけ】多肥を好むので、元肥には良質の堆肥(たいひ)と油かす、化成肥料などを多めに施します。ハクサイの根群は浅く広く張る性質があるので、元肥はべッド全面にばらまき、15~20cmの深さに耕し込むのが合理的です。苗は1ヵ所に2株寄せ合わせて植えつけましよう。残暑や強い降雨のとき、1本よりも初期生育が順調に進むからです。畑が乾いていたらあらかじめ植え穴に十分かん水し、水が引いたら苗を植え、その後で株の周りにもう一度かん水しておきます。
本葉7~8枚ぐらいになり株が競合するようになったら、生育の良い株を残して間引きます。盛んに育ち始めたら遅れずに追肥をします。結球開始までに 2~3回の追肥が欠かせません。
カリフラワーのまきどきと苗作り
板木技術士事務所●板木利隆
早くから人々に親しまれながら、仲間のブロッコリーに押されて消費は減少気味でしたが、最近は見直されて人気も回復傾向です。色の白さと歯触りが身上ですが、黄緑、紫色などの品種も加わり、用途も和・洋・中と広がって、育てる楽しみも多くなってきました。
種まきの適期は7月中旬~8月上旬(関東南部以西の平たん地の場合)ですが、暖地では遅めの7月下旬からにします。
品種の早晩生の違いは極めて大きく、極早生では定植後45~50日、中早生は65~75 日、晩生では90~100日余りかかるので、よく調べて品種を選びましよう。早取りを狙うには極早生を選び、まきどきを7月上旬に繰り上げます。
種まきは育苗箱に条まきし、本葉2枚のころ苗床に移植するか、128穴のセルトレイに 2~3粒ずつまき、育つにつれて一本立ちにするかの、いずれかにします。暑い盛りですので、苗の上方にはよしずや、遮光用のネット資材を風が通るように掛けます。育苗箱やトレイは強い日差しのときは木陰に置くなど、涼しくします。
夏は乾きやすいので、かん水不足にならないようにしますが、日中は避けて朝夕の涼しいうちに行うようにしましよう。暑いさなかにたくさん水をやると、立枯病が発生する恐れがあります。
苗床なら本葉5~6枚、セルトレイなら本葉3枚に育ったころが畑への定植適期です。苗には前もって十分かん水し、根鉢(植物を掘り出したときに根の周りについてくる土)を十分つけ、断根しないように注意して植えつけましよう。
良質の大きい花蕾(からい)を取るには、畑の準備も大切です。畑は前もって完熟堆肥(たいひ)を十分施して耕し込んでおき、元肥は溝を掘って油かす、化成肥料を施します。
秋に入ると雨が多くなるので、水はけが良くなるように整地します。周囲には排水溝を設け、畝を高めに作っておきましよう。深植えは避け、株元が少し高くなるように植えるのが最適です。
セルリー栽培のポイント
板木技術士事務所●板木利隆

セルリーはセロリとも呼ばれます。ビタミンC、B群やミネラル類、カロテンなどを含み、繊維質にも富む健康野菜です。独特な強い芳香の精油成分には、精神を安定させる作用があるそうです。この香りとさわやかな歯応えで、サラダや肉料理に大変人気があります。
その割に、家庭菜園ではあまり取り入れられていません。それはほかの葉茎菜類とはかなり異なった性質があり、一般的な栽培管理ではあまり良い品質のものが得られないからです。
具体的には、(1)初期生育が遅く、高温に比較的弱いため育苗管理が難しく、健全な大苗が得られないこと、(2)繊細な根の性質に応える畑の条件にすることが難しく、多肥、多水分を好むセルリーのための施肥やかん水がうまく行われていないことなどが理由です。
セルリーを上手に育てるためには、(1)高温下での昇温防止による上手な育苗管理、(2)良質な完熟堆肥(たいひ)と肥料を施した本畑作り、(3)植えつけ後の入念なかん水管理と十分な追肥などがポイントになります。
まず、品種は淡緑系で育てやすい「トップセラー」、「コーネル」などを選び、5月下旬~6月中旬に図のように育苗箱に条まきし、本葉2~3枚のころ苗床に移植し、べた掛け資材や遮光ネットなどで被覆し、入念なかん水管理により育てます。
本畑は早めに石灰を施して耕しておき、元肥として堆肥、油かす、化成肥料をべッド全面に施し、20~25cmの深さによく耕し込んでおきます。
苗が本葉6~7枚になったころ、排水のことを考え、やや高めに作ったべッドに、40cm×35cm間隔ぐらいに植えつけます。植えつけ後はべッド全面に敷きわらをし、水分不足にならないよう気をつけて、かん水を入念に行います。ほかの葉菜類よりも水分をかなり多く必要とすることを念頭に置いて管理することが大切です。
秋に入ると生育が盛んになるので、べッドの両側に油かすと化成肥料を15~20日間隔で3~4回追肥し、べッドに土を寄せ上げます。
脇芽が伸びてきたらかき取り、外の枯れ葉は適宜取り除きます。害虫は早期発見に努め、遅れずに薬剤散布して防ぐことも非常に大切です。

















